どーじんカイワイ

同人界隈のあんな事やこんな事。

【入門編】同人誌はルール違反?

【お知らせ】

http://adenoi-today.hatenablog.com/entry/2018/11/07/041547

↑こちらの方の記事が秀逸でしたので貼っておきます。勉強になりました。

 

人気アニメのキャラクターが描かれている同人誌。
即売会や同人ショップではごく当たり前の光景です。
しかし、界隈に精通していない方が見たとき、こんな疑問が湧くかもしれません。

 

同人誌はルール違反じゃないの?

作者の承諾を得ているの?

 

結論から申し上げますと

ルールを守っていれば勝手に発行しても訴えられる事はない!」です。

 

おわり!閉廷!

 

 …という訳にもいかないので、ガイドラインや法律の観点から同人誌の存在を考えます。

その前に基本的な知識のおさらいです。

 

 

 


【同人誌の種類と頒布方法】

  • 一次創作と二次創作

ここで取り上げるのは漫画・イラスト本の同人誌です。イラスト本とは漫画スタイル
では無く、セリフなしでイラストがメインに描かれている本のことです。


これらの同人誌には大きく分けて二種類存在します。
オリジナルのキャラクター、ストーリーで構成された
一次創作(オリジナル本…通称:オリ本)、既存のアニメ・漫画・ゲームのキャラクターを使用した二次創作の2つです。


本を発行するとき、一次創作に関しては当然オリジナルコンテンツなので、
著作権云々はあまり気にする必要はありませんが、
二次創作に関しては注意が必要です。


元ネタの作品には著作権ガイドラインが存在します。
作者の承諾を得ずに発行してしまう同人誌(本だけでなくグッズ等も含む)は一部の方々からあまり良い目で見られていないのも現実です。

 

  • 頒布とショップ委託


同人誌を頒布・入手する主な場所として、
コミックマーケットなどの即売会や、全国にある同人ショップが挙げられます。
即売会で同人誌を売ることを頒布、同人ショップで売ることを委託販売といいます。
同人活動は非商業・非営利を基本理念とし、多額の利益を出してはならないとされています。
このうち委託販売に関しては全国の店舗で販売されるなど規模が肥大化しており、

商業活動にあたるのではと指摘されています。

 

 

同人活動上抑えておくべきルール】

 

貴方がもし、同人誌を発行するとしましょう。
ここで重要になってくるのがガイドラインです。


コンテンツごとに二次利用に関するガイドラインが制定されており、特に同人誌取り扱い店に並んでいるモノは基本的にルールを守って発行されていると考えられていました。
しかし、そうとも言い切れない事態が発生。
版権元より取り扱い停止が要請されたケースをご紹介します。


同人誌取り扱い書店の1つとして有名なメロンブックスさんでの出来事。
当時ヒットしていたロボットアニメがありました。その名は「SSSS.GRIDMAN」。

gridman.net

 
同人界隈では、クール毎の人気アニメを題材とした本の制作は風物詩となっており、
冬コミでは同作品の同人誌が頒布されることが容易に想像できました。
各作者のTwitter、Pixiv等のSNS上では冬コミでの頒布及びメロンブックスさん等で委託販売を行いますと宣伝。

 

しかし、SSSS.GRIDMANの版権元はウルトラマンで有名なあの円谷プロ
同人活動が非商業・非営利を守っているのか監視していたと思われます。

 

2018年11月1日、公式Twitterにてガイドラインの案内がなされました。

gridman.net



この時点では、商業・営利目的や成人向け作品でなければ許してあげるで~
という標準的なガイドラインが示されただけでした。


ところが冬コミ4日前の12月25日、突然メロンブックスさんがグリッドマン同人関連
アイテムをすべて取り扱い停止すると発表しました。理由は版権元からの要請とのこと。

circle.melonbooks.co.jp


界隈を震撼させる出来事でした。なぜなら

「委託販売は営利目的に相当する」と判断されてしまったも同然だからです。
また、成人向け作品どころか全年齢作品まで含む点も大きな波紋を呼ぶ要因となりました。
今まで黙認されていた同人誌は星の数ほどありましたから…。
秋葉原の観光名所とも言える同人ショップに、旬のアニメ作品の同人誌が並ばない…
となれば寂しいこと間違いナシ。影響を受ける企業もあります。


…でも思い出して下さい。


同人誌は非商業・非営利が基本のハズ。
発行には印刷所、委託販売の場合は更に物流、販売店の企業が関わっています。
企業が絡んだ時点でアウト
そう言われても仕方ないでしょう。


(やべぇ、俺消されるのかな…)

 

 

  • 憲法・法律から見た同人誌

憲法や法律も確認してみましょう。

日本国憲法では、表現の自由が尊重されています。

第二十一条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 

出典:日本国憲法第21条 - Wikipedia

 

その一方で、知的財産基本法の元となった知的財産権を確認すると

知的財産権(ちてきざいさんけん、英語:intellectual property rights)とは、著作物(著作権)や工業所有権などといった無体物[注釈 1]について、その著作者などが、それに対する複製など多くの行為に関して(無体物であるにもかかわらず、あたかも有体物として財産としている、あるいは所有しているが如く)専有することができるという権利である。
出典:知的財産権 - Wikipedia

 

なんと矛盾しています。
しばしば論争になり、専門家でも意見が分かれる非常に難しい問題です。

 

同人誌も表現の自由を尊重するなら規制するべきではありません。
面白い創作・作品が生まれなくなってしまいます。
しかし、知的財産権の行使も当然の権利であり、どちらが正しいとも言えません。

 

 

【おすすめジャンル】

では、どんなジャンルなら安心して同人活動が出来るのでしょうか。

 

男性向けなら

艦隊これくしょん(艦これ)、
アズールレーン
東方project 等、

男女問わないジャンルなら

fateシリーズ等です。

 

艦これとアズレンガイドラインを紹介します。

(※個人のサイトになります↓)

kimu3.net

 

www.azurlane.jp


私も大半は上記ジャンルの本を買います。
これらを購入する理由はコンテンツを愛しているのは勿論ですが、二次利用に寛容なコンテンツだからです。
寛容な理由として、発祥が同人サークルという史実が挙げられます。
(アズールレーンに関しては中国の企業が発祥らしいですが、ノリは同人に近くフランクな印象です
同人文化を残すためには、ルールを守っている作者を応援する事が重要。
作者がどんなジャンルで活動しているかも要チェックです。

 

一方、上記のコンテンツ以外の大半は、ガイドラインをしっかり守っていれば、
勝手に発行しても原則制作側から警告を受ける事は無い…とされていますが、
ガイドラインに乗っ取りあくまで黙認されていると考えた方が良さそうです。

 

【おわりに】

長くなりましたが、最初にお話しした通り

「ルール守っていれば訴えられる事はない!」のは間違いありません。
しかし、

商業展開しているコンテンツでは注意が必要。

 

コンテンツ製作者側からすれば熱狂的なファンは宣伝に繋がるので、出来れば規制はしたくない…
でも悪意のある改変やお色気本が溢れるのは嫌だ…と思うでしょう
(逆に喜ぶ方も居そうですが)。

 

もし二次創作の同人誌を発行したいなら、

必ずそのコンテンツのガイドラインを確認しましょう!

 

また、先ほど紹介したおすすめの各ジャンルについては、別の機会で深く掘り下げたいと思います。

 

今回はこの辺で。

 

《おわり》